「今日、記者会見もより開かれるようにしてまいりたい。まだ十分ではない。さらにもっと記者会見も開かれるように仕立てていかなければならない。その第一歩を開かせていただいた」。先月26日の会見冒頭で、鳩山首相はそう述べた。首相会見は原則として、主催する内閣記者会(104社)所属の記者に限られていたが、この日初めてフリー記者らによる質疑を認めた。
準備された120席はほぼ埋まり、フリーやインターネットの記者ら約40人も出席した。昨年9月の鳩山首相就任時の会見で、日本雑誌協会や日本外国特派員協会の記者にも参加を認めたことに続く拡大措置。参加者数の増加に伴い、会見時間もこれまでの2倍の1時間に延びた。
会見の出席資格は▽日本専門新聞協会▽日本雑誌協会▽外務省発行の外国記者登録証の保持者▽日本インターネット報道協会−−に所属する報道機関の記者のほか、これらの媒体などに署名記事を寄せているフリー記者で、外務省が採用する基準とほぼ同じ。内閣記者会主催だが、指名と進行は内閣広報官が行った。
この日の会見では、14問の質問があったが、うち4問が内閣記者会以外の国内のフリー記者らから。大半は「首相主催の会見を開く考えはないか」「オープンの基準を設定する考えはあるか」などといった、記者会見に関する内容だった。会見の開放を強く求めてきた上杉隆氏は、指名を受けて「世界中のジャーナリストに代わってお礼申し上げたい」と謝意を表明したが、質問はしなかった。
首相会見は、週2回の閣議の後に開かれる他の閣僚会見と異なり定例化されていない。官邸報道室によると、首相会見は9月16日の就任会見を含めてこの半年でわずか4回。さらに、鳩山首相はこの日の会見で、官邸で立ち止まって数問の質問に答える「ぶら下がり取材」の廃止を示唆した。
小泉純一郎元首相は「ぶら下がり取材」を最大限に活用、「ワンフレーズ瞬間芸」の巧みなメディア対応で高支持率を維持し続けた。一方、麻生太郎前首相は短時間の応答をうまくこなせなかったことが支持率低下を招く遠因になったという指摘もあり、鳩山政権も就任前には回数の削減を検討したことがある。会見では、記者側が「総理が恣意(しい)的に会見を開いたり開かなかったりということがないよう、主催が記者会になっている。もっと頻繁に会見を開いていただきたいと要望してきた」とクギを刺す場面もあった。
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